今日の返事は、スタンプひとつだけだった。その絵柄を、もう三回も見返していた。夕食の片づけをしながら、今日一日の自分を巻き戻していた。朝のあの一言が、余計だった?おとといの頼みごとが、重かった?皿を拭く手は動いているのに、頭の中の取り調べは止まらない。容疑者のリストには、いつも、自分の名前しか載っていなかった。
相手が不機嫌だと、原因をまず自分の中に探し始める。悪くないことまで、私のせいかも、と背負ってしまう。これはあなたに罪があるからではありません。ISFJの傾向を持つ人には、とてもよく起きることです。

守ろうとする力が、真っ先に自分に向く
ISFJの傾向を持つ人は、関係に波風が立った瞬間、直せる場所を探し始めます。そして自分の手がいちばん早く届く場所は、いつだって自分自身です。相手の機嫌は変えられないけれど、自分の言動なら、今夜から直せる。私のせいかな、は罪悪感に見えて、その実、この関係をいちばん速く修理しようとする力の現れです。あなたは自分を責めているのではなく、関係を守ろうとしている。ただその力の向き先が、いつも自分に固定されているだけなのです。火事のとき、いちばん近い消火器に手が伸びるのと同じです。あなたにとって、いちばん近い消火器が、いつも自分だった。壊れた場所を探すあなたの目は、責める目ではなく、手当ての目です。

もうひとつ。原因が自分なら、まだ怖くない
もうひとつ、奥の動きがあります。不機嫌の原因が、自分の外にあるとしたら、どうでしょう。仕事の重い事情かもしれないし、あなたの知らない場所で、何かが静かに育っているのかもしれない。外側の原因は、見えないし触れません。それに比べると、原因が自分にあるほうが、まだ安心なのです。自分のせいなら、謝れるし直せるから。私のせいかな、は、手の届かない不安を手の届く形に置き換える、心の避難でもあります。けれどその避難を繰り返すほど、あなたの中には、身に覚えのない借金だけが、静かに積もっていきます。借金には利子もつきます。背負った夜の数だけ、自信が少しずつ削れていく、という利子です。見えない原因を見える原因に変えたくなるのは、暗い部屋より、散らかった部屋のほうがまだましだからです。
原因を自分に探すことと、非があることは、別のもの
原因を自分に探すことと、あなたに非があることは、別のものです。先に手を挙げる人が、犯人とは限りません。それなのに、やっぱり私が悪いんだ、と責めるたびに、あなたは自分の責任感を、欠点のように感じるようになっていきます。その責任感が、この関係の小さなほころびを、いくつも先回りで繕ってきたのに。先に謝れる人は、悪者なのではなく、関係の中でいちばん勇敢な人です。

あなたは、何でも背負うべき人じゃない
あなたは、何でも自分のせいにすべき人じゃない。ただ、関係を守る力が人一倍強いだけなのです。今夜、頭の中の取り調べが始まったら、調書にひとつだけ足してみてください。私のせいじゃない可能性も半分ある、と。彼の不機嫌は、彼の荷物であることのほうが、ずっと多いのです。あなたが背負っていいのは、あなたの分だけ。残りの半分を降ろした肩で立つあなたのほうが、きっと長く、隣にいられます。半分ある、が言えた夜は、取り調べが少しだけ早く終わります。
自分がどんなふうに関係を守る人なのか。その守り方の順番を知っておくと、頭の中の取り調べが始まった夜に、あとから自分の言葉で名前をつけられるようになります。
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